八十年以上生きねばならない

2011.06.13

四十代から上は、今の私にとっても未知の領域である。もしあなたが十代か二十代前半だったら、自分が四十代になった時どこでどうやって暮らしているか想像もつかないだろうし、もし想像したとしても「適当に結婚して子供でも生んで平凡に暮らしてるんじゃないの」という曖昧なものになるだろう。あるいは「結婚してるかどうかは分からないけど、何らかの形でちゃんと仕事をしていることは確か」としっかり考えている人もいるかもしれない。個人的な意見としては、若いうちから日々そんなに将来のことを思いつめることはないと思う。ちゃんと考えなければならないのは、むしろ目の前にある今日と明日のことで、ずっと先にある老後のことを具体的に考えるのは、それこそ四十代に入ってからでいいと思うし、逆に言うと四十代に入ればいやでも老後のことを具体的に考えなければならなくなる(らしい)。私は小心者でせっかちなので、そろそろ具体的に老後のことを考えはじめようとした。しかしそのとたん気がついたのだが、もし老後というものを(たとえ微々たるものでも)年金がもらえる六十五歳からと想定した場合、それまでにまだ二十八年もあるのだ。今から老後になるまでに二十八年。うわ、びっくり。そんな当たり前なことに驚いてどうするとも思うが、二十八年といえば、赤ん坊が生まれて学校に入って卒業して働きだして立派な大人になるまでの年数だ。その長さと同じ年数を三十七歳の私はこれからまた過ごすのだ。それどころか、老後はそこからはじまるわけなので、八十五歳まで寿命があったとしたら、その後また二十年生きなければならない。そんな長い時間、何をして過ごそうか。結婚して子供がある人ならば、自分がたどってきた道を、自分の子供も入学卒業就職結婚出産とまたたどっていくのを確認することで、その年月にメリハリがつくかもしれない。

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