最後の三年目は、不動産仲介業。この会社は一時、雲行きがあやしくなったが、いまでは名称を変え、マンスリーマンション、ビジネスホテルなどを展開している。ここで、不動産の仲介業務のノウハウを積む。物件三〇〇〇万円、四〇〇〇万円のものを扱い、その仲介手数料を稼ぐわけだ。「賃貸では家賃が五万円とか六万円、賃貸契約となればその五ヵ月、六ヵ月分の資金が必要ですから、金額としては三〇万円、四〇万円の世界でしょ。一方、建て売りは二〇〇〇万円、三〇〇〇万円ということになる。不動産仲介業務は、これも三〇〇〇万円、四〇〇〇万円の物件を扱って手数料が数十万円から百数十万円ですね。こういう世界ですから、金銭感覚を磨くことが大事なのです。何千万円もの高額の商品を本当に扱えるのか、と。この三年間は、死にもの狂いで実体験を積んだ時期ですね」不動産・建設業の華やかな時代だ。稼ぐ金も半端ではないが、懐に入ってくるのも、普通のサラリーマンには考えられない額である。「ノウハウだけ吸収すればいいと思っていましたからね。その当時、稼いだ金は、すべて使ってしまいました。独立するときには親から借りればいい、と、そのくらいの浅知恵はありました(笑)」専門家は、なかなかの剛毅である。金銭感覚を磨くというのは、経済に左右されない胆力を養うことだ。多くを稼いで、それを豪快に使った。こうでないと太っ腹な人間にはなれない。
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