ピエール・カルダンは、クリスチャン・ディオールの弟子で、ディオールの優秀なブレーンとして活躍したのち、イヴ・サンローランがディオール社に入社する少し前の1953年、師から独立して、パリのリシュパンス通りにピエールーカルダン社を設立した。そのカルダンの店の最初の客は、なんと、師匠のクリスチャン・ディオールその人である。ディオールは、カルダンの店開きのとき、激励に訪れ、「ボーモン伯爵主催の仮面舞踏会に着ていく服を」と、注文した。それ以前に、カルダンの店で服を注文した客はいなかったので、このディオールの注文が、カルダンの独立後最初の仕事となった。カルダンは、自分の力量を認めて服を注文してくれたディオールの親心に感謝しながら、この初仕事を引き受けた。弟子の店の出来ばえを心配したディオールは、カルダンの店のようすを見て、安心して店をでたという。