貧困と富という矛盾を抱える世界の多くの国に比べれば、それは潔いほど健全にも映る。隣のバングラデシュには金もち専用の高級バスが導入されているが、バスをつくる技術すらない。こうして世界の国々は、先進国の草刈り場になっていくという重い現実をさまざまな国で見せつけられている僕にしたら、インドが選んでいる道には頭がさがるほどだった。これがこの国を支えているインド式の経済感覚というものらしい。バスで旅する身には、なんとかしてほしいとは思うのだが、それは旅人の勝手なわがままであることもわかっている。
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いやこの国は、どこまでいっても頑固ということなのだろうか。なにしろ二十年このかた、バスの発車時刻を変えない国なのだ。だからなのだろうか。インドには長距離バスという発想すらないかのようだった。パトナーという五百キロを超える先の街をめざすバスだから、かなりの区間をノンストップで走るのではないかと僕は思っていた。しかし高速道路の道端や一般道に乗客がいれば、これでもか、これでもかと客を積み込んでいく。いってみればこのバスは、パトナー行きの路線バスでもあったのだ。