日本の同時通訳の草分けであるとか、NHK国際局で英仏語を使って働いたとか、数々の大学で講師を務めてきた経歴から、私のことを「キャリアウーマンのはしり」と人は言います。キャリアウーマンというと、なぜか独身で子供がいないと思い込まれてしまうことがあるのですが、40年連れ添った夫と、娘と息子が1人ずつおります。家族のことに触れたのは、彼らのことを紹介したかったわけではなく、私のごく身近に、外国人とのコミュニケーションによって人生が変わってしまった人がいるので、そのことについてお話ししたいと思ったからです。その身近な人というのは、私の娘なのです。同時通訳という仕事を選ぶきっかけだけでなく、異文化に対する関心を深め、実践への道を開いてくれました。キリスト教を知り、ミッションスクールに入り、洗礼を受けてカソリックになりましたし、キリスト教の根底を流れるボランティア精神について学び、実践を心がけるようになりました。今日私があるすべての始まりだったとも言えます。このような経験は、私だけでなく、娘にもあったことなのです。彼女は今、ユネスコで働いています。その前は、ある外資系金融会社にいて、高い給料をもらいながら、金融のプロとしてキャリアを磨いていました。けれども、数字ばかりを追いかけるその仕事が自分の一生をかけていくべきものなのか悩み始めていた娘を、私はアフリカのケニアへの旅に連れていきました。旅といっても観光ではなく、私のケニアの友人が村の学校の先生でリーダーでもあるので、いろいろと現状を見てきたのです。最貧の村には飲み水もなく、遠くまで頭に瓶を乗せて毎日数回運ぶのです。私たちは村人の家に宿泊しました。私が贈ったお金で貯水タンクー台が作れると村人はとても喜んで、ある日すべての村人が集まり、感謝の気持ちを歌や踊りで表現して見せてくれました。貧しい村ですから、ご馳走といっても質素なものですが、それでも心がこもっていることはわかりましたし、エネルギーに満ちた歌や踊りには深く感動しました。また、村の人だちと寝起きを共にし、一緒に食事をしながら、たくさんの話をした娘は、貧しくても心の豊かさに感激し、高給の職場を離れ、NGOとしての今の仕事に転職することを決意したのです。もともと水のない所ですから、お風呂にも入れず、クーラーの効かない暑い場所で、食べ慣れない食事をして、こんな旅を望む人は少ないかもしれません。けれども、娘は、現地の村の人と話せたことで、人間の触れ合いに感動し今までの生き方を変え、自分の進むべき道を見つけました。人に対する思いやり、自分の生き甲斐を見出したのです。旅のよさは、風景を見たり、珍しいものを食べるだけではありません。現地の人だちと触れ合うことで得るものはたくさんあるはずです。そして、心で通じ合うものはありますが、より多くのものを得ようと思ったら言葉は最大の武器になります。いろいろな国のいろいろな人とコミュニケーションをとるために、語学力は身につけておいて損はないのです。
[おすすめサイトのご紹介]
オンライン英会話のぐんぐん英会話
http://www.gge.co.jp/