新宿駅南口から徒歩二、三分。カメラや電気製品のディスカウントショップが密集している一角がある。そのブロック周辺に、同じような規模(二間四方くらい)の薬局が数軒点在していた。その中の一軒に足を踏み入れる。「薬B」、どこかで聞いたことのある名前だ。そうか、テレビのコマーシャルで見た薬のチェーン店だと合点する。よく見ると看板の上隅に第一二××店との表示がある。午後二時半。客はいない。政治学者さんに似た三十半ばの女性と、二十歳前後と思われる女の子が奥のほうで何やら話をしている。Iさんは白いブラウスに紺色のカーディガン、若い女の子のほうは外科用の白衣を着ている。ただし白衣は少々薄汚れており、清潔感はない。カウンターの横の壁には、なぜか『秋の韓国・格安旅行』というポスターが貼ってあった。