「大手」だからって何でもいいの?

2011.10.01

息子の不安はわかりますが、私は何かおかしいという気持ちで話を聞いていました。「家というものは、つくり手に“よい家をつくろう”という情熱がなかったら、よい家なんてできないのよ。こちらが誠意を持って自分の考えていることを説明し、それを誠意ある業者が受け止めて返してくれなかったら、よい家なんて建つはずないじゃない。大手の住宅メーカーだからいいとは限らないのよ」そう息子に言い返しながら、私は12年前に大学病院に、身辺の仕事の整理をして入院するようにいわれたときのことを思い出していました。足の腿のつけ根からカテーテルを入れて検査をし、静脈のためのペースメーカーを入れるかもしれないというのです。ペースメーカーを入れると、その管理のために月に1度、通勤で混み合う満員電車に乗って、死ぬまで病院通いを続けなければなりません。70、80歳になっての通院は、それだけで体にこたえるはずです。当時、脈が3回に1回は飛び、少し多めにスポーツクラブで泳いで帰ったときなどは、ホットカーペットに寝ころびながらテレビを見ていると、波が引くように頭を後ろに引っ張られるような感覚の発作が続いていました。そんな私を見かねて友人が念のためにといって、家から車で20分ほどの心臓血管外科専門の優秀な先生かいるという病院を紹介してくれました。そこであらためて心電図を取り、大学病院のデータが正しいことを確認したあと、その先生はカテーテル検査の必要はないと判断したようです。体に異物を入れるのは遅いほうがよい、ペースメーカーの必要は今のところないというのです。大学病院と比べたら小さな地域の病院です。どちらのいうことを聞くべきか悩みましたが、結局、私は親身になって私の話を聞いてくれ相談に乗ってくれた、地域の病院の先生に自分を託すことにしたのです。それは正解でした。今でもペースメーカーは入れずにすみ、その先生が私の心臓の管理をしてくださっています。